田畑健蔵/新田真佐樹/呉屋武嗣(野菜)
田畑健蔵/新田真佐樹/呉屋武嗣
南城市佐敷小谷(小谷生産組合)
| 農家歴 | 10年~20年 |
| 栽培面積 | 1800坪 |
| 栽培品種 | ピーマン |
言葉は少ないんですが、心がよく通じるんですわ。
40代、50代、60代のそれぞれの世代が南部佐敷の農園に集結。
世代が違うから争うというより、相手ができないことに精一杯手を貸す。
その共同作業が「良質ピーマン」の生産で高い評価を得ている。
沖縄では必ずしも容易ではないというピーマンづくりの壁を跳ね返すべく、今日も男3人、今日も男3人、「ピーマン王国」を目指す。
ピーマンづくりは、まるでドラマみたいだよ。
与那原十字路を佐敷向けに車を走らせ、新里ビラの手前で右に入ると、そこはいつのまにか畑の森。
この一画に今回登場の達人たちのハウス群があった。
南城市佐敷小谷(おこく)。
イスラエル製の資材を使ったハウスが9棟、1800坪に堂々と並ぶ。
1人600坪の割当で共同作業による中型ピーマン生産を行い、今、南部地域で注目されている3人組だ。
目標生産額の年間1人25トンに迫る勢いで関係者から期待が寄せられている。
取材に訪れた9月下旬は、来年6月まで続く農繁期直前の頃。
もう2~3週間すると、苗が人の身長ほどになり、たわわに実るピーマンの収穫が始まる。
来年の夏前までは50日周期で収穫に追われる。
8年前、組合を結成。
同地域にしっかりした根を張るために、補助事業を受け懸命に頑張ってきた。
現在のメンバーは田畑健蔵さん(60歳)、新田真佐樹さん(52歳)、呉屋武嗣さん(45歳)。
バランスよく40代、50代、60代と並んだのが不思議と本人たちも笑う。
三人寄れば文殊の知恵。
ことわざ通り、それぞれの個性を発揮し、沖縄の気候に必ずしも良好ではないと言われてきたピーマンづくりの幾多の障害を乗り越えてきた。
ようやく今、周りからも次第に評価されるようになった。
最年長の田畑さんは、神戸育ち。
震災が起る前年に沖縄に移住してきた。
故郷では建設業に従事していたため、ハウス建造物の修理や管理は一手に引き受けている。
沖縄で農業を始めて10年目、そろそろ野菜づくりがわかりかけてきたという。
「ウチナーンチュより、黒いんですわ。あっはは」
物腰の柔らかい話しぶりの横顔には、ピーマンづくりの自信とともに、これまでの苦労が感じられた。
1番若いが、農業歴20年という呉屋さんは、経験に裏打ちされた知識が豊富だ。
「野菜づくりは、格闘技みたいなもの。
毎日、違う敵が突拍子もなく現れ、なにがなんでも相手をやっつけなければならないんですよ」
害虫発生などピーマンの細かい変化に対する呉屋さんの眼差しは鋭い。
新田さんは、新兵器を使った消毒を一手に引き受けている。
消毒は面倒だが重要な作業。
幸い消毒作業に協力な助っ人が1人、3年前に現れた。
その御仁の名は、「スパーシャトル スプレイカ」。
県内1台の高性能ロボットだ。
新田さんは、とくにこのロボットと仲がよく一緒にハウスのなかを駆け回る。
一緒に作業をする姿はまるで相棒を引き連れているよう。
実際、スプレイカ君、人(新田さん?)が近くにいないと音をたててぐずるのだという。
ピーマンづくりで3人がやることはいろいろあるが、当面の大敵は毎年姿を現す害虫たち。
害虫が付着した症状にはプロの目を光らす。
朝、農園にくると、まず1800坪に栽培してあるピーマンの実や枝葉の表情に眼差しをむけ、1時間ほどかけてじっくり観察する。
特には2時間かけての作業となる事も。
ピーマンになにか異変があると、すぐに3人で会議を持ち対策を講じる。
それでも解決がつかない場合は、JAの営農指導員や県の普及員などに相談し、ネットワークをフルに活用する。
「ピーマンづくりは、まるでドラマみたいだよ」
日々、いろんなシーンでことこまかにピーマンづくりにこだわる3人が口をそろえた。
さらに、ピーマンづくりには温度と湿度の微妙な調整が求められる。
沖縄の強すぎる暑さや湿気には必要以上に気をつかう。
施肥にも特別栽培法などが施行され、細かい配慮が求められている。
消毒も重要な作業だ。
この農園は苦しさも楽しさも一緒に分かち合う、3人の男たちのドラマの舞台。
それぞれの配役をきちっとこなして、実りのある農園づくりに今後も頑張りたいと3人が目を輝かせた。
「言葉は少ないんですが、心がよく通じるんですわ」
沖縄の地にすっかり溶け込んだ田畑さんが、ウチナーンチュ以上の陽に焼けた顔で微笑んだ。
●辛味のないとうがらし
ピーマンはフランス語のPimet(発音はピマンとピーマンの中間)が語源とされ、英語ではベルペッパー、またはグリーンペッパーと言うとおり、とうがらしの仲間。
でもピーマンにはとうがらしの辛味成分力カプサイシンはほとんど含まれていません。
●ビタミンCたっぷり
ピーマンにはビタミンCがたっぷり。
ピーマン100g中のビタミンC含有量は約80mgで、中ぐらいのピーマン4個で1日の所要量をとることができます。
また、ビタミンPが含まれており、ビタミンCの熱による破壊を防いでいるので、炒めてもOKです。

